傾斜が緩くて壁に手や足がつく箇所では,クライマーとは反対側のロープをもって登り返したり,ホールドを持って登り返したりします。
問題となるのは,傾斜がきつい壁やルーフ壁などで,宙づりになってしまうケースです。この場合,クライマーと反対側のロープやホールドを持つことはできません。
傾斜がきついと宙づりなるケースがある。 |
*写真は,「イラスト・クライミング」阿部亮樹,東京新聞より引用
そのようなときに,「ポンピング」という技術を使います。
「ポンピング」とは,ビレイヤーがロープに体重をしっかりかけた状態で,クライマーが自分のロープを両手で持って跳ね上がり,一瞬の無重力状態を利用して体を上昇させる方法です。
アダムオンドラのポンピング動画は こちら (4分20秒を参考)
動画ではポンピングの様子が1回しか映っていませんが,これを数回繰り返すことで最終プロテクションまで移動することが可能です。
このとき,ビレイヤーがグリグリやクリックアップなど,オートロックディバイスを使っていれば,ビレイヤーとクライマーは楽にポンプアップすることが可能です。また,ビレイヤーが完全に宙に浮いた状態を作れたら尚ベストです。
注意点は,平山ユージ氏がポンプアップ時に指をロープに巻き込み,骨折した事例があり,指を巻き込まないように素早く両手を開放しなくてはなりません。
ちなみに,ロープをもってよじ登るのはポンピングではありません。
アダムオンドラのポンピングではない動画はこちら(52秒を参考)
「ポンピング」はクライマーよりもビレイヤーに卓越した技術が求められます。ビレイヤーがキチンと体重をかけていなければ,クライマーは殆ど体を上昇させることができません。
また,ビレイヤーが体重をかけた状態を維持したまま,ロープを引き込む技術は,練習の積み重ねで習得しなくてはならないでしょう。
0 件のコメント:
コメントを投稿